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DNSと通信の秘密

「DNSへの問い合わせは通信の秘密とは関係ないのでは?」と言う疑問がネットワークに詳しい方から出ることがある。


上の番組内でもひろゆき氏から(23:40あたり)「どう考えてもDNSブロッキングは通信の秘密にあたらない」「DNSの数字を変えるだけなのになぜそれが通信の秘密にあたるのか」「そう言うウソが広まる社会状況は良くない」等の発言があった。またブロッキング推進派とされる福井弁護士も以下の記事で同様な見解を述べている。

「DNSブロッキングは、直接的にはISPがIPアドレスのリクエストに応じないことを言い、ユーザーとの両者間で完結している。海賊版サイトにアクセスしたいという要求が機械的・技術的に拒否されることが、上の典型的な通信の秘密侵害の場面と同列だとは考えにくい、という見解もあるところだ。」

上の誤解に対する説明として番組内では視聴者から以下のページが挙げられていた:

補足すると通常のISP業務でDNSを運用するのは「通信の秘密の侵害」ではあるが「正当業務行為」となる

また、より詳しい解説としては以下の報告書の5ページに以下の通り解説されている:

サイト閲覧までの通信過程を分断して、ユーザとISP間の通信部分のみを切り出し、I SPを通信の一方当事者とみなした上で、通信当事者であるISPによる利用であるから通信の秘密の侵害には該当しないとする見解がある。これは、主にDNSポイズニングの手法について通信の秘密の保護を回避するための解釈と推察される。
ウェブサイトの閲覧は、一般に、1ユーザがアクセス先のホスト名に対応するIPアドレスを照会し、2照会を受けたISPのキャッシュサーバがユーザに当該IPアドレスを回答し、3ユーザはそのIPアドレスをもって再度同じISPを経由して目的のサイトにアクセスするという過程を経ることから、このうち1と2部分のみを取り出せば、物理的には、ユーザとISPとの間で通信が行われているように見えないこともない。
しかしながら、通信の秘密の保護の趣旨は、物理的な電気通信それ自体の保護ではなく、通信の意味内容を保護することにあり、通信当事者の合理的意思や通信の性質・ 目的を無視して、物理的な通信過程のみに着目することは、一般的に妥当な解釈とは言い難い。ウェブサイト閲覧に際して、ユーザにもISPにもお互いを相手方として通信をする意図はなく、ましてユーザ側が、自分のウェブサイト閲覧に関する情報の全てを通信媒介者にすぎないISPに委ね、その情報をISPが自由に知得・利用・第三者提供等することを容認しているとはおよそ考えられない。

2/16の知財本部会合でも(議事録は非公開だが)委員から「サイトブロッキングに係る通信の秘密について、DNS ブロッキングにおける DNSサーバーとの通信においても該当するのか」と言う質問があった旨議事要旨に記載されていることから、DNSブロッキングの法律的な建てつけやその違法性・違憲性については認識されていたはずである。「ブロッキングの法律問題」(2/16知財本部会合配布資料)

さらに遡ればこれらは2011年の児童ポルノブロッキング実施に先立ち、2008年よりISPや消費者団体、警察関係者、専門家等による長年の議論が積み重ねられた結果であり総務省の見解でもある、もし今回知財本部においてそれらを読み込んだ上での議論がされていないとすれば大変残念だ。

<参考>
コンビニの無線LANサービスをめぐり、総務省がNTTBPを指導 - CNET Japan
「セブンイレブンが2011年12月より開始した無料無線LANサービス「セブンスポット」では、Amazon.co.jpや楽天市場など、一部サイトへの接続がなされていない旨がソーシャルメディア上で報告され、メディアでも紹介されていた」