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漫画村の市場への影響について

 2018年4月13日に政府が発表した「緊急対策」では「被害額については、流通額ベースの試算で、「漫画村」については約 3000 億 円、「Anitube」では約 880 億円、「Miomio」では約 250 億円に上ると推計されている (一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)による推計)」とされている。また同日に発表された講談社からの「海賊版サイトについての緊急声明」では「出版界ではコミックに限ってもこれまでに数兆円規模の被害を受けたと試算されています」としている。

 この計算方法についてCODA後藤理事長はITmediaの取材に対し「CODAは、米国の映画を保護する組織・モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)と提携しており、MPAが被害額の算定にSimilarwebを使っているため、それにならっている。漫画村は、17年9月~2月ののべアクセス数(Total Visit)が6億1989万。それに、漫画や雑誌の平均単価515円を掛け合わせ、合計3192億円と計算した。Anitubeは同じ期間でのべ2億4810万アクセスあり、アニメの動画のダウンロード平均単価を356円を掛けて883億円、MioMioはのべ7010万アクセスに対して356円を掛けて249億円だ。(中略)CODAが算定したのは、出版事業者の逸失利益ではない」と回答した。

#Similarwebについては別ページで検証

全国出版協会の発表によれば「紙+電子で2.8%減の4,330億円、紙は初の二桁減、電子は17.2%増」とされており、同発表によればコミックスの大幅な売り上げ減少の理由はこれまで市場を支えてきたビッグタイトルの完結や部数規模の縮小、またこれに替わる新たなヒット作が出ていないこと、読者の紙から電子へのシフトによって、大幅な減少となりました。とされている。

<参考>
この1年間だけでも『暗殺教室』『BLEACH』『こちら葛飾区亀有前公園派出所』『トリコ』の4本、その前年には『NARUTO―ナルト―』『黒子のバスケ』が終了している。

コミック市場全体の販売額推移(出版科学研究所) 

では電子出版全体ではどうだろうか。同じく全国出版協会の発表では「2017年の電子出版市場は前年比16.0%増の2,215億円。内訳は電子コミックが同17.2%増の1,711億円、電子書籍(文字もの)が同12.4%増の290億円、電子雑誌が同12.0%増の214億円となりました。電子コミックは続伸していますが伸び率は縮小。値引きキャンペーンや無料試し読みなどを各社がこぞって行っているため飽和状態となりつつあります。また違法海賊版サイトの問題が表出しました。」とされているが、今回ブロッキング対象とされている「漫画村」の影響を直接受けるはずの「電子コミック」の方が「電子書籍(文字もの)」よりも伸び率が高いことは興味深い。またこれらの数字には無料マンガアプリ広告市場分は含まれていないことに留意したい。

<参考>
*インプレスは2017年度の無料マンガアプリ広告市場を101億円(016年度の約1.3倍)と推計している。

ここ数年紙のコミックス誌、コミックスの売上が減っていることは周知の事実であり、2017年の売上減についてもこのトレンドを外れてはいないように思える。


各社の決算発表における電子書籍関連事業の報告

2018年3月期 第3四半期報告書(カドカワ株式会社)
カドカワ株式会社の2018年3月期 第3四半期報告書によれば同社の電子書籍・電子雑誌事業について「(株)NTTドコモが運営する雑誌読み放題サービス「dマガジン」、総合電子書籍ストア 「BOOK☆WALKER」、他社の電子書籍ストアでの販売がいずれも好調で、出版業界の厳しい環境の下、増収に貢献しました。」とされている。

2017年度通期決算補足資料 2018年4月25日 株式会社イーブックイニシアティブジャパン
株式会社イーブックイニシアティブジャパンの2017年度通期決算補足資料では「Yahoo!ブックストア受託開始等により、電子書籍提供が大きく伸長。電子書籍配信、クロスメディアも変則決算の影響を除けば、順調に成長。」とされている。