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5月15日総務委員会 吉川議員ブロッキング関連質疑

参議院インターネット中継書き起こし(部分)
開会日 2018年5月15日
会議名 総務委員会 総務委員会委員名簿:参議院
審議時間 約3時間4分


(0:55:50から)

(吉川議員)次に今これは憲法に定める通信の秘密とかいろんなことに関わるインターネットの海賊版サイトに対する緊急対策について伺っていきたいと思います。4月13日知的財産戦略本部犯罪対策閣僚会議はインターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策を取りまとめました。特に悪質な海賊版サイトによる著作権者等の権利侵害拡大を食い止めるため速やかに ISP 等によるブロッキングを実施しうる環境を整備する必要があるとされています。ブロッキングは憲法第21条第2項、電気通信事業法第4条第1項、で定める通信の秘密を形式的に侵害する可能性があり、本来は立法府である国会で議論をし実施されるべき事柄です。この緊急対策の位置づけについて端的に伺います。

(住田局長)ご指摘の点でございますけれども、ご指摘の通り先般4月13日に緊急対策が決定されました。今回の緊急対策におきましては昨今運営者の特定が困難であり、また侵害コンテンツの削除要請すらできないような悪質な海賊版サイトが出ていることを踏まえまして、まずはこうした悪質な海賊版サイトのブロッキングに関する考え方の整理をいたしまして、その上で法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置といたしまして民間事業者による自主的な取り組みとして、三つの特に悪質なサイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当と考えられる、というような考え方を示したものでございます。

(吉川議員)ブロッキングは遮断の前提として、論理的にはですが、すべての通信について通信事業者が利用者のアクセス先を取得する必要があり、形式的にはですが、全てのインターネット利用者の通信の秘密を侵害する可能性があります。政府は今回の緊急取りまとめにあたり、通信の秘密との関係についてどういう整理をされたんでしょうか。長い答弁は結構です。

(住田局長)この通信の秘密との関係でございますけれども、知財本部におきましてはインターネットの海賊版につきまして、侵害行為の巧妙化複雑化による被害の深刻さが注目をされ始めました2016年からサイトブロッキングを含む対策方法について検討を進めてきたところでございます。特に昨年秋以降、こうした運営者の特定困難、あるいは侵害コンテンツの削除要請すらできないという巨大な海賊版サイトが登場して被害を急速に深刻化したことを踏まえまして、それ以降本年4月までの間に、知財本部の元で法的な論点も含めまして有識者からのヒアリングあるいは意見交換を行いまして、また政府内での検討を加速化をしたところでございます。議論の過程におきまして通信の秘密との関係も含めまして検討を行っておりまして、結果として今回の緊急対策に起きまして仮にISP事業者のブロッキングが通信の秘密を侵害に当たるとしても、刑法第37条の緊急避難の要件を満たす場合には違法性は阻却されるものと考えられ、としたところでございます。

(吉川議員)今の答弁に対しては個人的には申し上げたいところたくさんあるんですが、まあ本日はこのプロセスについて伺っていきたいと思います。今、議論がなされた、特に今年に入ってから云々とありましたが、今年2月16日知的財産戦略本部検証評価企画委員会コンテンツ分野会合第3回においては、模倣品海賊版対策についての討議として、インターネット上の海賊版対策に関する論点整理が議題とされていますが、この会合は非公開とされています。議事要旨、ほっとんど書いてないんですけど、その中で参考人からの提案含めた報告を踏まえ質疑応答と意見交換を実施としていくつかの項目だけ羅列されています。配布資料が乗っていたましたのでその辺資料を拝見しますと、海賊版サイトのブロッキングにつき通信の秘密との関係で慎重な意見を述べた参考人も複数いたことが窺われますが、何で非公開だったんでしょうか。端的にお願いします。

(住田局長)ご指摘の通り、2月16日 (聞き取れず)会議におきまして、インターネット上の海賊版対策についての集中討議を行いました。具体的には、海賊版対策を行なっている権利者団体の他、憲法学者あるいは情報法制に詳しい法律家も参考人としてお招きをいたしまして、インターネット上の海賊版サイトの被害の状況及びその対応策についての法的論点を含めた議論を行いました。この議事ににおきましては権利者として特に問題視しております悪質な海賊版サイトの実例あるいは個社の被害状況、さらにはこれまで講じてきた対策などを明確にしながら適切な対応策について関係者間で率直な議論を行う必要があったわけでございます。一方でこうした情報、今申し上げましたような情報を開示することになりますとかえって悪質な海賊版サイトが注目を浴びてしまうことによってその当該サイトに対する訪問者数が急激に増加をするのではないかということの懸念、あるいは権利者側が講じてきた、あるいは講じようとする対策について海賊版サイトの運営者などがなどを含めて広く知れ始めてしまう、手の内が知れてしまうというような恐れがある、さらには、個者の売り上げの減少をなどの状況を一般に開示することによって、会社の信用力などを含めまして当事者の利益を害する恐れがあったということから、検証委員会企画委員会の運営に関わる規定に基づきまして、議論は非公開として、議事要旨のみ公開をするという判断に至ったものでございます。

(1:02:00)

(吉川議員)今色々関係者から話を聞いて決めたというお話、なっがーい答弁でしたがありましたけれども、では、関係者の中で、実際にブロックをやるとなったらISP等の事業者がやることになるんですが、その辺の知見を持った関係事業者呼んで話ししてますか。

(住田局長)え、あの、今回のですね、議論の中で、まその2月16日の議論を含めまして、知的財産戦略本部の検証評価企画委員会において、通信事業者からの意見聴取を行ったということはございません。

(吉川議員)だからこそ、今回通信の秘密を形式的に侵害する可能性があるような議論をするわけですから、広く、議事概要だって不誠実ですよ、項目ほとんど書いてません。これでは何を議論したか国民は知ることはできません。ですから議事要旨だけでなく、この際今からでもいいですから議事録も公表し、ブロッキングと通信の秘密の関係等について政府においてどのような検討を行い今回の緊急対策の決定に至ったか、検討の経緯を公開するべきだと思いますが、ま局長に聞いても多分いい答弁返ってこないと思う、どうですか個人的に思いませんか。

(住田局長)今回の議論につきましては元々非公開を前提とした上での議論であったこともございますので、公開の判断につきましては議論に参加した関係者との間で調整を要するというふうに考えております。 この議事の内容について部分的な公開が可能かどうか、という点につきましては、その後の状況変化、あるいは関係者の意向を踏まえながら検討して参りたいというふうに思います。

(1:03:42)

(吉川議員)実は今回の緊急対策の中では、海賊版サイトのブロッキングが緊急避難の構成要件を満たすかについて法的整理を示し、法益権衡の要件については平成22年の児童ポルノのブロッキングに係る議論における、著作権を保護法益とするブロッキングについての整理を引用されています。申し上げます。「2010年における議論は昨今のように大量の著作物を無料公開し現行法での対応が困難な、特に悪質な海賊版サイトが出現する前の状況を前提としたもの、財産権であることをもってすなわち回復可能と断じるのではなく、こうした特に悪質な海賊版サイトに係る状況を勘案した上で事例に即した具体的な検討が求められる。その際には保護されるべき著作物が公開されることによりどの程度回復困難な損害を生じ得るかという観点などから検討が行われるべき」とされています。児童ポルノブロッキングに関しては数年にわたる議論の末、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさないように配慮しつつ、関連事業者が自主的に実施するものとされたと承知しています。一方今回の海賊版サイトのブロッキングに関しては、知的財産戦略本部等の、ほとんど公表されていませんけれども、公表資料等を拝見する限りどのような経緯根拠で緊急対策に至ったのか不明確な点も多々ございます。児童ポルノのブロッキングに関する議論の中で著作権について本構成を応用することは不可能とされたことを踏まえると、緊急対策の決定にあたって改めて緊急避難の構成要件を全て満たすのか十分に検討する必要があったと思いますがいかがでしょうか。

(住田局長)今回の緊急対策の中でも、その点につきまして、詳細に関係省庁とも良く連携をしながら考え方の整理をしたものでございます。先ほどございました、ご指摘ございました通り、あの2010年時点における議論との差異というのについてもご紹介いただいた通り整理をしてございます。またこの特に悪質な海賊版サイトに関するブロッキングについての法的整理という紙をまとめたわけでございまして、その中で緊急避難の構成要件の検証といたしまして、現在の危難がどれくらいの規模で生じているのかという点、また第二番目は補充性、すなわち他の手段を尽くしているのかという点でございますけれども、その観点から運営者への削除要請とか、あるいは検索結果からの表示削除を要請、さらにはレジストラへの削除要請、あるいは広告規制、訴訟告訴といったあらゆる対策がとられているかどうかということについても検証をしたところでございます。さらに法益権衡につきましては、この保護法益と侵害法益との比較ということについて、先ほどご紹介のあったような点も踏まえまして、2010年の時との差異を言うのを明確にしながら議論を進めたというところでございます。

(1:07:00)

(吉川議員)今の答弁についても個人的には多々ございますが、先ほど電気通信事業法の改正案でサイバー攻撃への対処の時は、この情報共有については総務省内に検討会を設け事業者からヒアリングを行い通信の秘密との関係について検討がなされたことが、先から引用している取りまとめからも伺われます。一方、今回の緊急対策、海賊版サイトの緊急対策については、漫画の売り上げが減少するなど著作権出版権者の権利が著しく損なわれ、一刻も早い対策が必要であるということは私自身も重々認識しています。が、通信事業者による自主的な取り組み、という法的位置づけが不明確な形で対処を促すという決定が政府においてされました。今回のサイバー攻撃に係る情報共有と比較し、決定に至るプロセスが不透明であるような気がしてなりません。電気通信事業を所管する総務省はこの緊急対策の決定につきどのように認識されているか、一言で構いません見解をお願いします

(渡辺局長)(略)

(1:08:43)

(吉川議員)海外におけるブロッキングの状況ってどうですか。


(住田局長)(略)


(1:09:16)

(吉川議員)4月17日の当委員会において住田局長は、サイトブロッキングでございますけれどもすでに海外では40カ国以上の国で導入をされておりますと言って、今みたいに国名をずーっと並べました。が、実はこれらの国が立法あるいは司法手続きを経ることなく、行政府が特定のサイトを指示しブロッキングを実施している国というのはありません。いずれ立法または司法手続きを経て、ブロッキングを認めており、行政限りで特定のサイトを指示して実施している国はありません。ですから、先ほど総務省から答弁ありました通り、有効かつ適正な手続きに基づく対処が可能となる法制度整備が早急に求められると思います。緊急対策においてブロッキングは通信の秘密の他にも表現の自由(憲法第21条)への影響が懸念されることや、技術的にはあらゆるコンテンツの閲覧を利用者の意思に関わらず一律防止可能とするものであるとされています。緊急対策が今回の措置を「法制の整備が行われるまでの間の倫理的かつ緊急的な措置」としていることを踏まえると、今後の発生するであろう著作権侵害について有効かつ適正な手続きに基づく対象を可能とするよう、早期にこの制度を整備する必要があると思います。ただ先ほどから申し上げております通り、法整備に当たってもさまざまな意見が、懸念が、多くの、いろんな方々から賛否含めて表明されている状況を踏まえ、今後議論するときは知的財産戦略本部に限らず、広く関係者の意見を踏まえた上で、迅速にブロッキングと通信の秘密との関係を整理し法的根拠を明確化する必要があります。法整備の検討の体制、進め方、スケジュールについて、今持っている案があればお願いします。

(1:11:02)

(住田局長)ご指摘の通り今の緊急対策というのは臨時的かつ緊急的な対応でございまして、法制度整備を行うまでの間と考えてございます。必要な法制度の整備につきましては、次期通常国会への提出を目指して検討を行うことをこの緊急対策と同時に確認をしたわけでございます。ご指摘の通り通信の秘密等を含め多方面で様々なご意見がございますことは承知をしておりますので、こうした関係者の理解を得ながら十分な議論を踏まえかつ迅速に関係省庁と連携しながら検討して参りたいというふうに考えてございます。

(吉川議員)緊急取りまとめの一部をみると、リーチサイトについては臨時国会または次期通常国会を目指しと書いてあります。今回の件は本来であれば、立法措置があって対応するべき問題でしたので、出来れば次期通常国会とおっしゃらずに今度の臨時国会でも可能となりを迅速に広く関係者の意見を聞いて対応法整備を進めて頂きたい、そうしなければならない問題だと思っています。今日は立法府と行政府の関係から包括委任規定や改正案の内容について伺ってまいりました。これからも立法府の一員としてしっかり行政をチェックして参りたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(1:12:18)

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*2018年6月7日に公式な議事録が公開されました→ 参議院会議録情報 第196回国会 総務委員会 第8号
(以下公式議事録からの抜粋)


○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織でございます。
 立憲民主党の議員として初めての質疑であると同時に、議員生活十一年目終わろうとしておりますが、これまで何度か電気通信事業法の質疑の機会ございました。ただ、これまで一度もあえて質疑には立っておりませんでしたので、この法案で質疑に立つのも実は今回が初めてでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そこで最初に、電気通信行政全般について大臣に見解を伺いたいと思います。
 先月の衆議院総務委員会、四月十二日、大臣は、これまでの電気通信行政全般についての答弁で、規制緩和を進め、公正な競争環境を整備することによって事業者間の活発な競争を促してきた結果、約一・九万事業者が参入し、市場規模は約五倍に拡大するなど、大きな成果を上げてきたという旨の答弁をなさっています。確かに、一九八五年以降、新規事業者の参入を促すことで国内の情報通信市場における競争を活性化し、結果として料金の低廉化やブロードバンドの普及拡大が進展したという点では一定の成果があったことは間違いないと思います。
 ただ、しかしながら、世界に目を向けた場合、GAFA、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンがICT市場を席巻し、現在もなおその国際的影響力を増し続け、支配的な状況となっています。日本では、光ファイバー等通信インフラや通信の料金の低廉化は世界水準と比較してもトップレベルとなっていますが、アプリケーションレイヤーやプラットフォームレイヤーといった、いわゆる物理層ではなくて上位レイヤーにおいては、我が国の情報通信企業はGAFAのような世界レベルの企業と互角に渡り合えるレベルとなっているとは言い難いと思います。
 これまでの政策は、新規事業者の参入を促すことで通信市場の活性化を図るといったネットワークレイヤー、さっき申し上げたのが上位レイヤーとすれば、ネットワークレイヤーに閉じた競争政策に終始してきた感が否めませんが、こうした政策が事業領域の垣根をブレークスルーして上位レイヤーに打って出るといった通信事業者の挑戦意欲を阻害し続けてきた結果、今日のような我が国企業がグローバルICT市場においては後塵を拝する状況に至る状況をつくってしまっているのではないかとも言えます。
 ICTによって世の中の産業構造全体が変化していく中で、いつまでも旧来型の制度をベースとするのではなく、これまでのネットワークレイヤーに閉じた競争政策は一旦棚卸しした上で、今後は、ネットワークレイヤーに縛られない新たな領域への通信事業者の積極的な挑戦を促し、グローバルICT市場の上位レイヤーにおいても世界と互角に戦えるようなプレーヤーを育てるといった観点での政策を大胆に打ち出していくという方向にシフトしていくべきと考えますが、大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(野田聖子君) 吉川委員御指摘のとおりで、総務省では、昭和六十年の電電公社の民営化、通信自由化以降、規制緩和を進めるとともに、公正な競争環境を整備することによって事業者間の活発な競争を促してきたところです。加えて、消費者保護ルールを充実して、利用者利便の向上を図ってきました。結果、多くの企業が新規参入することができ、料金の低廉化とかLTEや光ファイバーなどブロードバンドサービスの普及、そういうことが進み、お話があったように市場規模は約五倍に拡大するなど、これまで大きな成果を上げてきたということを認識しています。
 さらに、電気通信事業者と様々な業種の企業との連携を可能にして、上位レイヤー、今お話があった上位レイヤーなどにおける新サービス、新事業の創出を促進するため、移動通信分野の市場支配的事業者に対する異業種との連携に係る規制の緩和、NTT東西の光回線の卸売サービスに関する制度整備などの規制改革にも取り組んでいるところです。
 総務省としては、ICTを取り巻く環境の変化を踏まえ、上位レイヤーや国際展開も視野に入れた施策に取り組んでいくことで、我が国経済の活性化や、国民がICTのメリットを最大限享受できる環境の実現にしっかり努めてまいりたいと思います。
○吉川沙織君 これまでのネットワークレイヤーに閉じた競争政策から上位レイヤーに打って出られるような環境を是非総務省としてもつくっていただきたいと思います。
 一方で、旧来の市場分析や競争規制ルール等を踏襲するのではなく、情報通信市場全体を多面的、多層的に捉え、市場競争環境の変化を踏まえた政策遂行も必要だと思います。
 例えば、固定電話等の発信トラフィックはピークは平成十二年度でしたが、全通信回数の今は三〇%を下回っていますし、通信時間に至っては二〇%を下回って、回線数についてもピークは平成九年度でしたけれども、これも三〇%程度まで減少、つまり固定電話の音声市場というのは大きく縮小してしまっています。
 二〇二四年に予定されているNTTの固定電話網からIP網への移行については、こうした市場環境の変化を背景として、それでも国民の皆様に引き続き最低限の連絡手段としての音声通話を今後も利用することができるよう、いかに最小限のコストで固定電話を維持していくかという観点からの取組であるとも私は認識しています。
 総務省としてもこれらの後押しをする必要があるのではないかと考えますが、局長の考えを伺います。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、固定電話の市場が縮小している中で、NTTを始めとします事業者の追加コストを可能な限り抑えながらIP網への円滑な移行を進めていくことは重要だというふうに認識しているところでございます。
 現在の固定電話網につきましては、事業者間の通話の接続につきましては全国のNTTの交換機を介してつながる仕組みとなっており、電話番号の管理につきましてもNTTの交換機に附属しているデータベースに行われているということから、交換機等の設備の維持管理、運用のためのコストの負担が生じているというふうに認識しているところでございます。
 このため、情報通信審議会におきましても、各事業者の意見を聞きながら議論を行いながら、NTTの交換機に依存した現在の固定電話の仕組みにつきましては、まず一つ目としましては、既存の利用者に負担を掛けないよう電話の端末ですとかメタル回線は維持したままメタルIP電話を実現していくということとし、二つ目としましては、事業者間の通話の接続箇所につきましては原則として東京と大阪の二か所に集約をし、また、電話番号の管理につきましても各事業者がデータベースを保有して行う等を行うことによって、IP網の特性を生かしたよりシンプルで経済合理的なネットワーク構成、システムへの移行をするためのロードマップというのを作成したところでございます。
 総務省としましては、今御説明した審議会の答申等に基づきましてIP網への移行を促進することにより、固定電話の維持管理のためのコストを軽減できると期待しているところでございます。
 今後とも、事業者の意見も十分に聞きながら、光ファイバーや無線等のアクセス回線の活用も含めまして、固定電話が利用者に安定的かつ確実に提供されるよう必要な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○吉川沙織君 十分に意見を聞いていただきながら取組を進めていただきたいと思います。
 一九八五年のNTTの民営化以降、先ほど総務大臣から、事業者は新規参入を促進することによって約一・九万事業者まで増えましたと答弁がありましたとおり、我が国における電気通信行政における競争政策というのは、これまでどちらかといえばプレーヤーの数を増やすことに注力されてきた側面があることは私は否定できないと思っています。
 これから5GやIoT時代が本格的に到来し、これらに莫大な設備投資が必要となる中、今ある事業者がこれからの社会インフラとなり得る5G等に十分に設備投資をできる環境をつくるべく、プレーヤーを増やすというよりも、欧州のように今ある事業者を育てるという政策転換もある種必要ではないかと思うんですが、総務省の見解を端的に伺います。
○政府参考人(渡辺克也君) 御指摘のように、IoTはあらゆるものがつながるということで、まさしくこれからの第四次産業革命の起点となるというふうに思っております。特に、5Gの登場に伴いまして、利活用される範囲というのがこれまでICTを余り使っていない分野にも広がると期待しておりまして、電気通信分野には、様々な潜在的なプレーヤーと組んで、新たな領域でありますビジネスモデル、私どもB2B2Xと呼んでおりますが、こういった形で他の利用者の方々も含めたビジネスモデルの構築が必要だろうというふうに思ってございます。
 こういった認識の下、総務省としましては、具体的な利活用も想定した実証実験を推進するとともに、関係者の方々の知見もいただきながら、本年夏頃までに、地域における5Gですとか光ファイバー等のICTインフラをどういうふうに使っていくかと、こういった普及戦略も含めて検討を進めているところでございます。
 総務省としては、5Gのインフラの整備のための設備投資資金の確保にも十分留意しつつ、電気通信事業者と様々なプレーヤーとの連携を通じた新たなビジネスモデルの構築も含めて、引き続き競争政策の立案に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○吉川沙織君 正面から答弁いただけなかったんですけど、後押しはしていくという答弁でした。
 プレーヤーの数を増やすという方に注力が今までどちらかといえばされていたような気がするんですけど、そうではない政策に力を入れていくという理解でよろしいですか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 プレーヤーの数を広げるということだけではなくて、むしろ、これからそのプレーヤーの方々を使ったサービスをどうつくっていくかということで、どちらかというと、これまで電気通信、ICTに余り関与しなかった方々のサービスを、まさしくICTを活用してサービスをつくっていくと、そういった形の、新しいプラットフォーム的な面も含めたサービス創出に向けて力を入れていくことが、これからの5GあるいはIoTの進展に向けて重要だろうというふうに思っているところでございます。
○吉川沙織君 ありがとうございます。
 それでは、今回の改正案の内容に、具体的にお聞きしていきたいと思います。
 今回の改正案では、サイバー攻撃への対処も項目の一つですが、このサイバー攻撃、今、多様化、複雑化している中で、電気通信事業者がお互い持っている情報を、何が問題なのかというのを共有するための仕組みをつくります。
 これに関しては、事業者同士で情報を持ち合うと、憲法に規定する通信の秘密に抵触するおそれがありますので第三者機関をつくるという立て付けになっていますけれども、これは憲法に規定される通信の秘密に関わる改正事項であるがゆえ、総務省内に検討会を設置し、議論が行われたと承知しております。検討会の取りまとめに至る経緯のみお伺いいたします。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおり、そのサイバー攻撃などへの対処につき検討するために、総務省におきまして、円滑なインターネット利用環境の確保の検討会というのを開催いたしました。この検討会におきましては、多数の事業者間で迅速に情報共有を行うため、情報共有の結節点となる第三者機関が必要との御意見、さらには、共有される情報には通信の秘密に該当する情報が含まれるということから、第三者機関を通じた情報共有に当たって通信の秘密に十分に配慮するということの意見があったところでございます。
 このような意見を踏まえまして、同検討会では、二月に取りまとめた報告書におきまして、第三者機関における具体的な情報の収集、分析、共有等の体制、情報の取扱いに関する安全管理措置、情報提供の相手方の範囲、情報共有の実施方法につきまして、通信の秘密やプライバシー保護との関係を踏まえて整理する必要があるというふうに整理いただいたところでございます。
○吉川沙織君 今、二月に取りまとめが行われたと答弁をいただきましたが、この取りまとめる過程の中で関係事業者からは意見は聞かれていますね。
○政府参考人(渡辺克也君) 関係者の方々も含めて意見を幅広く聞いて検討をいただいたところでございます。
○吉川沙織君 この改正案においては、サイバー攻撃を行うマルウエア感染機器やそれらに指令を出すサーバーへの対処を促進するため、第三者機関を中心として通信事業者が必要な情報共有をするための制度を整備するとされています。
 通信元や通信先のIPアドレス、ポート番号、タイムスタンプ等の通信情報は通信の秘密として保護されるものであり、通信当事者の同意等、つまりユーザーの同意等がない限り共有を許されません。また、通信事業者にとってはユーザーのプライバシーに関わる情報でもあります。
 今回の改正案提出に当たって、通信事業者の情報共有が通信の秘密に侵害しないようどのように担保をされているのか、総務省に伺います。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 通信の秘密に該当する情報の取扱いにつきましては、原則として、委員御指摘のとおり利用者の同意が必要でございます。この法律案におきましても、電気通信事業者に対して、利用者との契約などに、情報共有について利用者の同意を取得するということを求めているところでございます。
 このほか、第三者機関における通信の秘密の取扱いに関しましては、認定に際して業務の方法などを審査し、業務の運営が不適切な場合には業務の改善の命令などを設けているほか、通信の秘密を漏らした場合などにつきまして電気通信事業者と同様の加重した罰則を設けているところでございます。
 これら取組等により、情報共有における通信の秘密の適切な取扱いを確保することというふうにしていきたいというふうに思ってございます。
○吉川沙織君 改正後の法律の条文でいえば何条の何項ですか。
○政府参考人(渡辺克也君) 同意取得に関しましては、改正法の電気通信事業法第十一条の二第二項第一号のロ及び第二号のロでございます。
 また、通信の取扱いに関しましての認定の審査に関しましても、同様の十一条の二の一項及び二項で規定されているところでございます。
○吉川沙織君 第十一条とおっしゃる。第百十六条ではないですか。
○政府参考人(渡辺克也君) 修正いたします。第百十六条の間違いでございます。失礼いたしました。
○吉川沙織君 今回、新旧対照を全て拝読しましたけれども、これ、どこでユーザーの同意を担保しているのかどうかが非常に読みづらい条文でしたけれども、改正後の第百十六条の二の第二項のロとか二でやっているということでございました。
 これに関して少しお伺いしたいと思います。
 四月十二日の衆議院総務委員会で、局長から、「通信の秘密に該当する情報の取扱いにつきましては、原則として利用者からの同意の取得が必要」との答弁が二回ありました。この原則の例外とは何でしょうか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 御指摘の個別の通信の当事者に関わる事項につきましては、通信の秘密に該当することから、サイバー攻撃の送信元の情報共有に当たっては原則として通信当事者の同意が必要となります。他方、このような通信当事者の同意がない場合であっても、法令行為、正当業務行為、正当防衛又は緊急避難に該当する場合は違法性が阻却されるということになるというふうに考えています。
○吉川沙織君 今、法令行為、正当業務行為、正当防衛、緊急避難に該当する場合とありました。法令行為と正当防衛、緊急避難はある程度分かるんですけれども、この中で、正当業務行為に該当する場合、この正当業務行為として認められる事項とは具体的に何を想定されていますでしょうか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 電気通信事業者が電気通信役務の提供等の業務を行うために必要であって、目的の正当性、行為の必要性等を満たす行為につきまして正当業務行為としていますが、具体的には、料金請求のために通話時間を確認したりとか宛先を確認したりルーティングをする場合、こういった場合等が当たるものと考えているところでございます。
○吉川沙織君 料金請求の場合とか宛先のルーティングとありましたが、更にこれに関連して伺いたいと思います。
 改正後の第百十六条の二の第二項に「二 会員である電気通信事業者」というのがあります。この会員になるかどうかというのは義務でしょうか、任意でしょうか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 任意でございます。
○吉川沙織君 ここでちょっと問題を提起したいんですけど、今回、サイバー攻撃をみんなで共有して、危ない人に対しては通知をするという、こういう立て付けになっているわけですけれども、この会員が任意であるとするならば、そこの会員として入った事業者はいいが、ただ、非会員であっても情報共有は受けることができるとは伺っておりますけれども、入っていない事業者がサイバー攻撃でいえば防御の穴になってしまいやしないかということ、また、ユーザーの同意が取れなかった場合も、そのユーザーが、サイバー攻撃の注意喚起ができないということになって防御の穴になりかねないという側面もあると思います。
 つまり、この会員にほとんどの事業者がなったとしても、一部事業者が例外であるならば、そこに穴が空いて、全ての利用者から同意を取れない場合も同様の問題があるのではないかと思っています。NICTから来たIPアドレスを見てユーザーを特定し、そのユーザーに対して事業者が注意喚起をすることになるんでしょうが、ユーザーを特定することが通信の秘密と言われています。この同意を取れないユーザーを隔離すべきだということは、これは実行上問題があるんじゃないかと思います。
 今回のケースがどこまで通信の秘密に該当するかというのは議論が必要でしょうし、ユーザーの同意が取れない場合の注意喚起についても、これを正当業務行為であるとも言えるのではないかと思うんですが、検討する余地ございませんでしょうか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 基本的には、できるだけ多くの方々に入っていただくように第三者機関を通じて幅広く促していくということが、基本的に対応していくことが重要だろうと思ってございます。また、そういった中において、基本的には、現時点におきましては第三者機関の情報の共有というものに関しましては利用者の同意というのを原則にして行ってございますが、そういった状況等を通じながら、今後必要に応じて検討をすべき課題だろうというふうに認識しているところでございます。
○吉川沙織君 でも、ユーザーの同意が取れない場合というのが、原則としてというのがさっきおっしゃっていただきましたけれども、それを緊急、サイバー攻撃で何かあったら一気に広まっちゃうわけですから、これは本当に一々同意を取ってばかりいると大変なことになる側面もあるということは申し上げたいと思いますし、ユーザーの同意ではなく、例えば全事業者が感染ユーザーを特定して注意喚起できるような仕組みをつくるなどということはこれから検討に値すると考えますが、御感想あればお願いします。
○政府参考人(渡辺克也君) 今お話ししましたように、同意の取り方に関しましても、多分いろいろな側面、サービスの側面について考えられる要素があろうかと思っております。もちろん、基本的には個別での同意というのが原則でございますが、例えば包括的なものでの同意ですとか、そこら辺の約款的なものを作って関係事業者との関係でそういったものを進めていくとか、いろいろな施策もあろうかと思います。
 サイバーアタックの状況等を踏まえながら、円滑にこういったものに対してどう対応できるかと、電気通信事業者の意見も聞きながら具体的な対応策というものを考えていきたいというふうに思ってございます。
○吉川沙織君 この第三者機関の情報共有の仕組みも大きな、今答弁でありましたけれども、先ほど答弁いただいた今回の改正案に至る検討会の中に置かれたワーキンググループにおいて、事業者からヒアリングをしていただいたと答弁ございました。意見交換や自由討議も行われています。
 で、対応の方向性を二月に取りまとめていますが、ヒアリングにおいて、第三者機関を結節点とした情報共有の仕組みについて事業者からはどのような意見があったんでしょうか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 今お話ししました、先ほど御説明しました円滑なインターネットの利用に関する検討会におきましては、構成員とか関係者の方々からも、いわゆるその法制度とか、具体的な実施に当たっては事業者にとって過度な負担とならないような、そういった仕組みを含めてきちんと対応できるようにというふうな御指摘もあったところでございます。
 また、各事業者におきましても、こういったものを使うことによって、今後のサイバー対策におきましての効率的な対応ができるというふうな御意見もいただいていますので、そういった御意見も含めて、今回の法改正等対応したところでございます。
○吉川沙織君 取りまとめに当たって行われた意見募集においても、通信事業者における情報共有に関し、通信事業者にとって過度な負担とならず、できるだけ多くの者が参加できるような枠組みにすべきとの意見は出されています。
 この事業者の意見に対し、総務省は、報告書で、「法制度や具体的な実施枠組を検討するに当たっては、御指摘の点についても十分に留意しながら検討を進めることが重要と考えます。」としています。
 DDoS攻撃等に係る通信情報は、通信事業者にとって通信の秘密及びプライバシー保護の観点から慎重に扱うべき情報ですが、総務省はこの仕組みの整備に当たり、どのような負担が具体的に生じるとお考えでしょうか。今の時点で結構です。
○政府参考人(渡辺克也君) 第三者機関が情報共有の業務を行うことによって、第三者機関では、例えば業務に従事するいわゆる人件費の関係ですとか情報共有を行うための通信設備、いわゆるデータベースの、そういったものの費用が必要になるというふうに考えているところでございます。これらの費用につきましては、原則として第三者機関の会員である電気通信事業者が会費あるいは手数料として負担をすることを想定しているところでございます。
 現時点で具体的にどの程度の負担額ということに関しましてはなかなか現時点でお答えすることは難しいわけでございますが、総務省としましては、より多くの方々が情報共有に参加できるよう、第三者機関の認定を受ける一般社団法人に対しまして、参加する者に過大な負担が生じない運用ができるように促してまいりたいというふうに考えております。
○吉川沙織君 対応の方向性十二ページでは、「情報共有を受けた電気通信事業者におけるDDoS攻撃等の防止措置の実施を確保しつつ、情報共有の枠組みに参画しようとする事業者に過度な負担となることを避ける等、多数の電気通信事業者の自主的な参画を図るための方策についても検討し、電気通信事業者が積極的に協力できる情報共有基盤として設計することも必要である。」としています。
 サイバー攻撃への対処を迅速に網羅的に行うためには、先ほども指摘申し上げましたとおり、全ての事業者が改正案に基づく情報共有のシステムに参画することが必要ですが、総務省は、全ての事業者が参画するためにどのような措置講じますか。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 サイバー攻撃への対処の実効性を上げるには、御指摘のとおり、本法律案の共有、いわゆる第三者機関の枠組みの中に幅広い電気通信事業者の方に参加していただくことが重要というふうに考えてございます。
 この情報共有の枠組みの検討に当たりましては、現に存在するICT分野におけるサイバーセキュリティーに関する情報収集、分析等を実施し、多くのインターネットの関係者が参加しております一般社団法人ICT―ISACを念頭にしているところでございます。
 この情報共有の枠組みにつきましては、個々の事業者では対応が困難な大規模なサイバー攻撃に連携により対応できるようにするものであり、参加をするインセンティブ、こういったものを持っていただけるよう対応を図っていきたいというふうに考えてございます。
 また、総務省としましても、サイバー攻撃への対処の実効性を上げるためにも、情報共有の重要性を説明し、より幅広い電気通信事業者の参加を促してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉川沙織君 全ての事業者が参加できるような仕組みは是非促進していただきたいと思います。
 次に、委任立法の在り方です。
 私は、ずっと、三権分立、それから立法府と行政府の関係というのはそれぞれ抑制して独立しているものだと承知をしていますが、今回の改正案第百七十六条の二では、「この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、総務省令で定める。」との規定を新たに設けるものとされています。この規定の趣旨及びこの規定に基づく省令規定事項として想定している内容について伺います。
○国務大臣(野田聖子君) 電気通信事業法の改正案では、電気通信番号計画の申請手続など多くの手続を設けております。このため、個別の規定で総務省令への委任を定めているほかにも、必要な手続の様式などを定めることが見込まれることから、その根拠を明らかにするため、委員御指摘の第百七十六条の二を設けております。この規定では、法律の実施に必要な事項に限り委任することとしており、この規定に基づいて実質的に権利を制限し、義務を課す総務省令を定めることはありません。
 なお、本法律案では、法律で定められる内容は条文で定めており、委員御指摘の通信の秘密に直接関連する事項については総務省令への委任は行っておりません。
○吉川沙織君 今回、改正条文を拝見しますと、省令委任事項って二十一項目あるんです。第百七十六条の二の包括委任規定を含みますけど、もう山盛りあって、確かに今答弁いただいたように、周知事項とか届出手続、記載事項、書式、添付、公示の方法ではあるんですが、であるならば、わざわざ包括委任規定を置かずともいいんじゃないかという思いもあります。
 対応の方向性を拝見しますと、サイバー攻撃への対処という喫緊の課題への対策に当たっても、通信の秘密を十分配慮し、慎重に検討をされてきています。その一方で、憲法で保障された通信の秘密の趣旨を踏まえ立法された電気通信事業法に関し、法実施のために必要な手続や細目的事項を定める根拠となる規定だとしても、行政機関が具体的、個別的委任なく省令を定めることができるとすることは、立法府の人間からすれば疑問があります。国会は国の唯一の立法機関であり、その趣旨を失わせるほどの一般的、抽象的委任は私は許されないと思います。
 この点について大臣の御見解があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(野田聖子君) 大臣としてまず答弁します。
 法の規定を実施するための省令を定める際には、具体的な省令への委任規定に基づいて定めるほか、法を実施するために必要な書類の様式など細目的な事項について定めることがあると。本法律案についても、国民の権利義務に関わる重要な手続における省令委任事項については必要な根拠を規定しているものの、電気通信番号計画やサイバー攻撃への情報共有を行う第三者機関の認定など多くの手続を設けていることから、必要に応じ、様式などで省令において定めることはあります。(発言する者あり)
 まあそういうことなんですけれども、私も、今は総務大臣を務めておりますが、少し前までは立法府で皆さんと一緒に法律を一生懸命手掛けてまいりました。今日、その一つが恐らく成立するであろうと言われていますが、そういうことを考えたときに、政省令というのは、議員の中で、議員提案の中で法律作る、政府案も賛成するけれども、政省令の中で若干ずれがあるということは間々、長らく言われ続けてきたことであります。
 極力、本来、立法府が法律を作る作業を国民から任せられているというその大義の下で、双方にやはり協力し合って、より良い国民にとっての利益につながっていく法律を作っていかなければならないというふうに承知しています。
○吉川沙織君 先ほどの大臣の答弁で、通信の秘密とか国民の権利義務に関するようなものはやりませんとありましたので、それで理解をしたいとは思うんですが、今回の包括委任規定を見付けてから、過去の例をずっと調べてみました。そうしたら、政省令の包括委任規定って平成十年代の後半から急増しているんです。だから、やっぱり立法府の立場からすれば、それぞれの条文で政省令に委ねると書くならいざ知らず、もう丸ごと「この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、総務省令で定める。」と書くことは、私は、やっぱり立法府の立場からすればちょっとつらいなという思いでございます。
 次に、これは憲法に定める通信の秘密とかいろんなことに関わるインターネットの海賊版サイトに対する緊急対策について伺っていきたいと思います。
 四月十三日、知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議は、インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策を取りまとめました。特に悪質な海賊版サイトによる著作権者等の権利侵害拡大を食い止めるため、速やかにISP等によるブロッキングを実施し得る環境を整備する必要があるとされています。
 ブロッキングは、憲法第二十一条第二項、電気通信事業法第四条第一項で定める通信の秘密を形式的に侵害する可能性があり、本来は立法府たる国会で議論をし、実施されるべき事柄です。この緊急対策の位置付けについて、端的に伺います。
○政府参考人(住田孝之君) 御指摘の点でございますけれども、御指摘のとおり、先般、四月十三日にこの緊急対策が決定をされました。
 今回の緊急対策におきましては、昨今、運営者の特定が困難であり、また侵害コンテンツの削除要請すらできないような、こういう悪質な海賊版サイトが出ているということを踏まえまして、まず、こうした特に悪質な海賊版サイトのブロッキングに関する考え方の整理をいたしまして、その上で、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置といたしまして、民間事業者による自主的な取組として、三つの特に悪質なサイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当と考えられるというような考え方を示したものでございます。
○吉川沙織君 ブロッキングは、遮断の前提として、論理的にはですが、全ての通信について通信事業者が利用者のアクセス先を知得する必要があり、形式的にはですが、全てのインターネット利用者の通信の秘密を侵害する可能性があります。
 政府は、今回の緊急取りまとめに当たり、通信の秘密との関係についてどういう整理をされたんでしょうか。長い答弁は結構です。
○政府参考人(住田孝之君) この通信の秘密との関係でございますけれども、知財本部におきましては、インターネットの海賊版につきまして侵害行為の巧妙化、複雑化による被害の深刻さが注目をされ始めました二〇一六年から、サイトブロッキングを含む対策方法について検討を進めてきたところでございます。特に昨年秋以降、こうした運営者の特定が困難、あるいは侵害コンテンツの削除要請すらできないという巨大な海賊版サイトが登場して被害が急速に深刻化したということを踏まえまして、それ以降本年四月までの間に、知財本部の下で法的な論点も含めまして有識者からのヒアリングあるいは意見交換を行いまして、また政府部内での検討を加速化をしたところでございます。
 議論の過程におきまして、通信の秘密との関係も含めまして検討を行っておりまして、結果として、今回の緊急対策におきまして、仮にISP事業者のブロッキング行為が通信の秘密の侵害に当たるとしても、刑法第三十七条の緊急避難の要件を満たす場合には違法性が阻却されるものと考えられるとしたところでございます。
○吉川沙織君 今の答弁に対しては個人的には申し上げたいところたくさんあるんですが、このプロセスについて本日伺っていきたいと思います。
 今、議論がなされた、特に今年に入ってから云々とありましたが、今年二月十六日、知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会コンテンツ分野会合第三回においては、模倣品・海賊版対策についての討議として、インターネット上の海賊版対策に関する論点整理が議題とされていますが、この会合は非公開とされています。議事要旨、ほとんど書いていないんですけど、その中で、「参考人からの提案を含めた報告を踏まえ、質疑応答・意見交換を実施。」として、幾つかの項目だけ羅列されています。
 配付資料は載っていましたので、その配付資料を拝見しますと、海賊版サイトのブロッキングにつき、通信の秘密との関係で慎重な意見を述べた参考人も複数いたことがうかがわれますが、何で非公開だったんでしょうか。端的にお願いします。
○政府参考人(住田孝之君) 御指摘のとおり、二月十六日、検証・評価・企画委員会の第三回会合におきまして、インターネット上の海賊版対策についての集中討議を行いました。具体的には、海賊版対策を行っている権利者団体のほか、憲法学者、あるいは情報法制に詳しい法律家も参考人としてお招きをいたしまして、インターネット上の海賊版サイトの被害の状況及びその対応策についての法的な論点を含めた議論を行いました。
 この議事におきましては、権利者として特に問題視しております悪質な海賊版サイトの実例あるいは個社の被害状況、さらにはこれまで講じてきた対策などを明確にしながら、適切な対応策について関係者間で率直な議論を行う必要があったわけでございます。
 一方で、こうした情報、今申し上げましたような情報を開示することになりますと、かえって悪質な海賊版サイトが注目を浴びてしまう、これによって訪問者数が、その当該サイトに対する訪問者数が急激に増加をするのではないかということの懸念、あるいは権利者側が講じてきた、あるいは講じようとする対策について海賊版サイトの運営者などを含めて広く知らしめてしまう、ある意味手のうちが知れてしまうというようなおそれがあると。
 さらには、個社の売上げの減少などの状況を一般に開示することによって、会社の信用力などを含めまして当事者の利益を害するおそれがあったということから、検証・評価・企画委員会の運営に関わる規定に基づきまして、議論は非公開として議事要旨のみ公開をするという判断に至ったものでございます。
○吉川沙織君 今、いろいろ関係者から話を聞いて決めたというお話、長い答弁でしたけど、ありましたけれども、では、関係者の中で、実際にブロッキングをやるとなったらISP等の事業者がやることになるんですが、その辺の知見を持った関係事業者、呼んで話していますか。
○政府参考人(住田孝之君) 今回の議論の中で、その二月十六日の議論も含めまして、知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会において通信事業者からの意見聴取を行ったということはございません。
○吉川沙織君 だからこそ、今回、通信の秘密を形式的にだろうが何だろうが侵害する可能性があるような議論をするわけですから、議事概要だって不誠実ですよ。項目をほとんど書いていません。これでは何を議論したか国民が知ることはできません。
 ですから、議事要旨だけでなく、この際、今からでもいいですから、議事録も公表し、ブロッキングと通信の秘密の関係等について、政府においてどのような検討を行い今回の緊急対策の決定に至ったか、検討の経緯を公開するべきだと思いますが、まあ局長に聞いても多分いい答弁返ってこないと思います。どうですか、個人的に思いませんか。
○政府参考人(住田孝之君) 今回の議論につきましては、元々非公開を前提とした上での議論であったこともございますので、公開の判断につきましては、議論に参加した関係者との間で調整を要するというふうに考えてございます。
 この議事の内容について部分的な公開が可能かどうかという点につきましては、その後の状況変化あるいは関係者の意向を踏まえながら検討してまいりたいというふうに思います。
○吉川沙織君 実は、今回の緊急対策の中では、海賊版サイトのブロッキングが緊急避難の構成要件を満たすかについて法的整理を示し、法益権衡の要件については、平成二十二年の児童ポルノのブロッキングに係る議論における、著作権を保護法益とするブロッキングについての整理を引用されています。
 申し上げます。「二〇一〇年における議論は、昨今のように大量の著作物を無料公開し、現行法での対応が困難な特に悪質な海賊版サイトが出現する前の状況を前提としたもの」、「「財産権であることをもってすなわち回復可能」と断じるのではなく、こうした特に悪質な海賊版サイトに係る状況を勘案した上で、事例に即した具体的な検討が求められる。その際には、保護されるべき著作物が公開されることによりどの程度回復困難な損害を生じ得るかという観点などから検討が行われるべき」とされています。
 児童ポルノのブロッキングに関しては、数年にわたる、数年にわたる議論の末、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさない運用に配慮しつつ、関連事業者が自主的に実施するものとされたと承知しています。
 一方、今回の海賊版サイトのブロッキングに関しては、知的財産戦略本部等の、ほとんど公表されていませんけれども、公表資料等を拝見する限り、どのような経緯、根拠で緊急対策に至ったのか、不明確な点も多々ございます。児童ポルノのブロッキングに関する議論の中で、著作権について本構成を応用することは不可能とされたことを踏まえると、緊急対策の決定に当たって改めて緊急避難の構成要件を全て満たすのか十分に検討する必要があったと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(住田孝之君) 今回の緊急対策の中では、その点につきまして、詳細に関係省庁ともよく連携をしながら考え方の整理をしたものでございます。先ほど御指摘がございましたとおり、二〇一〇年時点における議論との差異というのについても、御紹介をいただいたとおり整理をしてございます。
 また、この「特に悪質な海賊版サイトに関するブロッキングについての法的整理」という紙をまとめたわけでございまして、その中で、緊急避難の構成要件の検証といたしまして、現在の危難がどれぐらいの規模で生じているのかという点、また第二番目は補充性、すなわちほかの手段を尽くしているのかという点でございますけれども、その観点から、運営者への削除要請とか、あるいは検索結果からの表示削除要請、さらにはレジストラーへの削除要請、あるいは広告規制、あるいは訴訟、告訴といったあらゆる対策が取られているかどうかということについても検証をしたところでございます。
 さらに、法益権衡につきましては、保護法益と被侵害法益との比較ということにつきまして、先ほど御紹介のあったような点も踏まえまして、二〇一〇年のときとの差異というのを明確にしながら議論を進めたというところでございます。
○吉川沙織君 今の答弁についても個人的には多々ございますが、先ほど電気通信事業法の改正案で、サイバー攻撃への対処のときは、この情報共有については総務省内に検討会を設け、事業者からヒアリングを行い、通信の秘密との関係について検討がなされたことがさっきから引用している取りまとめからもうかがわれます。
 一方、今回の緊急対策、海賊版サイトの緊急対策については、漫画の売上げが減少するなど著作権者、出版権者の権利が著しく損なわれ、一刻も早い対策が必要であるということは私自身も重々認識しています。が、通信事業者による自主的な取組という法的位置付けが不明確な形で対処を促すという決定が政府においてなされました。
 今回のサイバー攻撃に係る情報共有と比較し、決定に至るプロセスが不透明であるような気がしてなりません。電気通信事業を所管する総務省は、この緊急対策の決定につきどのように認識されているか、一言で構いません、見解をお願いします。
○政府参考人(渡辺克也君) お答え申し上げます。
 今回の決定につきましては、先ほど御説明ございましたが、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置として民間事業者の自主的な取組として行われるブロッキングについての考え方を示したものと理解しているところでございます。
 この取組につきましては、今後の法制度を含めて検討いただくことになるわけでございますが、当然通信の秘密等にも関わるものであることから、これらにつきまして悪影響が与えることのない、十分配慮いただきながら取り組むとともに、多くの関係者が関わることでもあることから、これらの方々の御理解もいただきながら進めることが大切だというふうに考えているところでございます。
○吉川沙織君 海外におけるブロッキングの状況ってどうですか。
○政府参考人(住田孝之君) EU諸国、あるいはアメリカ、オーストラリア等の諸外国における著作権侵害に対処する方策、これはいろいろなものがございます。多くの国で、例えば……
○吉川沙織君 簡潔に。
○政府参考人(住田孝之君) はい。
 イギリスでございますとかオーストラリアでございますとかフランスでございますとかドイツ、スウェーデンといった国におきましては、このサイトブロッキングも含めた幅広い対策が行われているものと承知をしております。
○吉川沙織君 四月十七日の当委員会において、局長は、「このサイトブロッキングでございますけれども、既に海外では四十か国以上の国で導入をされております。」と言って、今みたいに国名をずっと並べました。が、実は、これらの国が、立法あるいは司法手続を経ることなく行政府が特定のサイトを指示しブロッキングを実施している国というのはありません。いずれも立法又は司法手続を経てブロッキングを認めており、行政限りで特定のサイトを指示して実施している国はありません。ですから、先ほど総務省から答弁ありましたように、有効かつ適正な手続に基づく対処が可能となるよう、法制度整備が早急に求められると思います。
 緊急対策において、「ブロッキングは、通信の秘密の他にも表現の自由(憲法第二十一条)への影響が懸念される事や、技術的にはあらゆるコンテンツの閲覧を利用者の意思に関わらず一律防止可能とするものである」とされています。緊急対策が今回の措置を「法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置」としていることを踏まえると、今後も発生するであろう著作権侵害について有効かつ適正な手続に基づく対処を可能とするよう、早期に法制度を整備する必要があると思います。
 ただ、先ほどから申し上げておりますとおり、法整備に当たっては、様々な意見が、懸念が多くのいろんな方から賛否含めて表明されている状況を踏まえ、今度議論するときは、知的財産戦略本部に限らず、広く関係者の意見を踏まえた上で迅速にブロッキングと通信の秘密との関係を整理し、法的根拠を明確化する必要があります。
 法整備の検討の体制、進め方、スケジュールについて、今持っている案があればお願いします。
○政府参考人(住田孝之君) 御指摘のとおり、この今の対策というのは臨時的かつ緊急的な対応でございまして、法制度整備が行われるまでの間と考えてございます。この必要な法制度の整備につきましては、次期通常国会への提出を目指して検討を行うということをこの緊急対策と同時に確認をしたわけでございます。
 御指摘のとおり、通信の秘密等を含め、多方面で様々な御意見がございますことは承知をしておりますので、こうした関係者の理解を得ながら、十分な議論を踏まえ、かつ迅速に関係省庁と連携しながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○吉川沙織君 緊急取りまとめの一部を見ると、リーチサイトについては臨時国会又は次期通常国会を目指しと書いてあります。今回の件は、本来であれば立法措置があって対応するべき問題でしたので、できれば次期通常国会とおっしゃらずに、今度の臨時国会でも可能となるよう、迅速に広く関係者の意見を聞いて対応を、法整備を進めていただきたい、そうしなければならない問題だと思っています。
 今日は、立法府と行政府の関係から包括委任規定や改正案の内容について伺ってまいりました。これからも立法府の一員としてしっかり行政をチェックしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。